本論文は、野球の木製バットの反発性能に、基材の表面硬さや塗装がどの様に影響するかを実験的に検討されたものです。
スポーツ用品の機械的な特性を評価して性能向上に活用する研究は、ゴルフクラブやテニスラケットなど様々なスポーツで行われていますが、バットの塗装の影響を検討した論文はこれまで見たことがありませんでした。
ナノインデンテーション試験などによって、基材の表面硬さや塗装の硬さが反発性能に寄与する結果を得られたことは、大変興味深いです。
ただし、評価した各メーカのバットの形状や仕様が異なることが、試験結果の整理や解釈を難しくしています。
BBCOR ratioなどの指標を定義したりと様々な工夫をされていますが、制約が大きい中で無理やりひねり出した印象を受けます。
各メーカや業界団体の協力を得た研究とのことなので、今後はより制約の少ない条件で研究を推進できることを期待します。