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CFRTP積層板の機械的特性と破壊形態に及ぼすパルス電解ニッケルめっきを触媒としたCNT析出炭素繊維の影響

['田中 和人', '荒木 史也', '川口 正隆', '渡辺 公貴']   /   材料 / Vol. 74 / No. 9
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P. Q. 2025-10-15
今後の展開に期待
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リサイクル可能な熱可塑性樹脂を母材樹脂とするFRPの普及に貢献する研究。強化繊維に炭素繊維を使う場合、繊維と樹脂の界面強度が重要になる。その界面強度を向上させるために、炭素繊維表面にカーボンナノチューブ(CFT)を析出させるという、なかなか面白い発想の研究である。先行研究はあるようだが、析出させる密度などを最適化しないと逆に破壊の起点になる、積層板に成型した場合の強度が研究されていないなど、課題があるとのこと。
そこで、CNT析出の触媒として作用するNi粒子を炭素繊維表面に付着させる際に、パルス電流を利用することで、上手くNi粒子を付着させ、析出するCNTの長さや径の最適化に成功した。ここまでは、かなり素晴らしい成果であり、期待感が高まった。ただ、実際に積層板にして曲げ強度を試験してみると、CNT析出を行わない方が強度が高い結果となったようで、あれっ、という感じになってしまった。どうやら、炭素繊維とCNTの接合部分の強度が弱いようである。
いずれにせよ、CNT析出炭素繊維を積層板に成型し、未解明であった積層板の機械特性の解明にチャレンジした点は非常に評価できる。今後の成功(積層板の強度向上)に期待したい。